ご家族の方へ
子供に多い整形外科のケガ・病気について
小児の整形外科の病気は、やはり「けが」が多いのが特徴です。そしてスポーツ障害も目立ちます。稀ではありますが、先天性疾患もあります。
子供は何か異常があれば、必ず症状を訴えます。痛みやしびれなど症状がある場合は、早めに整形外科を受診するようにお願いいたします。
注意が必要なこと
お子さんの年齢にもよりますが、その症状を「うまく伝えられない」ということも考えられます。ご家族の方にはそれを考慮していただき「何かおかしいな・・・」と違和感を覚えたら、早めに当院へご相談いただけますと幸いです。症状はなくとも、四肢の変形や左右差など、お体で気にあることがございましたらお気軽に当院を受診ください。
当院で治療可能な疾患であれば、精一杯治療させていただきます。手術や特殊な治療が必要と判断した場合は、専門施設へ紹介させていただきます。
ご相談の多い症状・お悩み
骨折
骨折は上肢(肩関節・肘関節・手関節と手指の部分)に多いケガです。とくに肘関節や手関節周囲のケガが目立ちます。
肘周囲
- 上腕骨顆上骨折
- 外顆骨折
手関節
- 橈骨遠位端骨折
- 舟状骨骨折
ずれ(転位)がない場合は、保存療法(ギプスなどでの固定)で治療可能です。しかし、ずれが生じている場合は、手術を要します。
肘内障
骨折ではありませんが、手を引っ張った場合に亜脱臼する肘内障(ちゅうないしょう)があります。
肘内障は小児期にしか生じません。上肢を痛がり全く動かしません。整復は容易ですので、早急に受診してください。
スポーツ障害
それぞれのスポーツにより障害される部位が異なります。
野球に多いケガ
投球障害による肩や肘の障害(野球肩、野球肘)など
陸上競技に多いケガ
膝や足関節の障害(靭帯障害、膝内障、アキレス腱炎)など
また、スポーツ全般で骨膜炎(シンスプリント)や疲労骨折など、使い過ぎのよる障害も多く認められます。
その他
小児特有の希な疾患がたくさんあります。
- 側弯(背骨)
- 骨端症(股関節膝、足)
- 先天性疾患(多指症、股関節脱臼)
など、多岐にわたります。
肘内障(ちゅうないしょう)
子どもが痛がって、腕を動かそうとしない
肘内障は、俗に「肘が抜けた」という状態です。具体的には肘の橈骨頭(とうこつとう)から輪状靭帯がはずれかける(亜脱臼)状態をいいます。
肘内障を起こした子どもは、腕を動かせなくなります。しかし、肘を大きく動かさない限りは強い痛みを感じることはありませんので、泣かないお子さんも多いです。ほとんどの子どもが片腕をだらんと下げた状態になることが多いです。
激しい痛みを感じている場合は、肘内障ではなく骨折を疑います。
肘内障が起こりやすい時期
とくに輪状靭帯が発達していない年齢(1歳未満から6歳程度)の子どもは注意が必要です。歩き始めから小学入学前までは、お子さんの肘内障のご相談が多く、やや女の子に多い傾向がみられます。
肘内障が起こりやすい状況
発生原因で考えられるのは、転倒などによるケガです。
- 転んで手をついたときに肘が抜けた。
- 転んで腕をひねってしまった、肘を打ってしまった。
など、「遊んでいて転んでしまい・・・」というケースが多いです。
お子さんの手を引っ張ってしまった
肘内障で多いのは「子どもが転びそうになったので、手を取って引っ張ってしまった」というケースです。
お子さんと手をつないで歩いているとき、とっさに手を引っ張ってしまった経験をお持ちの方も少なくないと思います。また、腕を掴んで持ち上げて遊んでいた際に、肘内障を起こしてしまう場合もあります。
日常生活のふとしたシーンで起こりやすいケガなので、ご家族の方は十分に注意しましょう。
肘内障の検査・治療
基本は徒手整復術で治療します。
検査・診断
肘内障は、患者さんへの問診と身体所見によって診断していきます。
治療
治療は徒手整復術によって簡単に整復できます。手術や麻酔などを行うことはありませんので、診察室でほんの数秒程度で治療は終わることが多いです。
整復後には、腕を動かす動作(伸ばして縮めてを繰り返す動作や、腕を上げたりするような動作)などをして、正常に手・腕が動くかどうかを確認していきます。
肘内障ではない場合
整復術をしても肘内障が解消されない、もしくは骨折が疑われる場合は、レントゲン撮影によって詳しく検査する必要があります。
また、受傷後しばらくしても
- 泣くのをやめない
- 腕を動かさない
- 肘が腫れている
など、痛みを疑う仕草をはじめ、「手の感覚がない」「手の指に変色がみられる」という場合は、早急に整形外科を受診してください。
再発への注意
施術後は再発しやすいため、注意が必要です。
本来であれば、しばらくは体を使う遊び(公園などの遊具や幼稚園での外遊びなど)は、控えることが望ましいです。
しかし、小さな子どもによって、遊びを制限されることはとてもストレスになり、難しい部分もあります。ご家族の方がお子さんの様子を見ていて、とくに肘・腕をかばうような様子を見せなければ、遊ばせても良いと判断できます。
当院で行う検査
お体への負担を最小限に
当院では、子供のお体の状態に合わせて、問診や身体所見の他にさまざまな検査を実施します。
お体になるべく負担をかけないよう、注意を図りながら診療を進めてまいります。何か気になることがありましたら遠慮なくご相談ください。