ご相談の多い首肩のお悩み
このような症状はありませんか?
- 首を回したり前後に動かすと痛い。
- 慢性的な肩こりに悩まされている。
- 首肩が痛くて、腕を上まであげられない。
- 首肩のこりが酷く、頭痛の症状がある。
- 朝起きたら寝違えていた。
など
痛みの特徴としては、鈍痛やビリビリとした痛み、重だるい感じや突発的な強い痛みなど様々です。
- 腕や肩を動かしたときに痛みを感じる
- 何もしていない時に痛みが出る
など、患者さんのお体の状態もそれぞれ異なります。
首の痛みや肩の痛みは自然に治ることもありますが、強い痛みを感じたり、何日経過しても症状が改善しない場合は注意が必要です。また、再発を繰り返す場合には痛みの根本原因を明確にすることがとても重要です。
頭を支える役割
私たちの頭の重さは大人でおおよそ4~6kgあるといわれています。これはボーリングで使うボールの重さとちょうど同じくらいです。この重さを首の骨を含む背骨と、首・肩・背中の筋肉で支えています。
特別な動作をしなくとも、日頃の何気ない動作や姿勢によって、首肩にはとても大きなストレスがかかっていることが分かります。
スマホを見る際に、覗き込むようにうつむく姿勢をとることも多いと思いますが、この姿勢をとるだけで頭の重さの数倍の負荷が首や肩にかかります。
首肩の仕組みと痛みのメカニズム
頸椎(脊柱)の構造
背骨(脊柱)とは
背骨というと背中だけをイメージされる方もいらっしゃいますが、背骨は脊柱(せきちゅう)ともよばれ「首からお尻」まで続いた骨格の全体をさします。椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨がブロックのように積み上げられて構成されています。
椎骨は、頸椎(首の骨:7個)・胸椎(胸の骨:12個)・腰椎(腰の骨:5個)があり、その下の仙骨・尾骨(お尻の骨)まで繋がっています。
脊髄を守る役割
脳と体の各部を結ぶ主要な通信経路(中枢神経)である脊髄(せきずい)は、長く傷つきやすい管状の構造物です。
この大切な脊髄を守るために、脊柱はトンネルのような構造(脊柱管)をしています。また、椎骨と椎骨の間には椎間板とよばれる軟骨が存在し、衝撃を和らげる働きを担います。
椎間板
椎骨と椎骨の間にある円形の線維軟骨で、クッションのような役割を果たす。
脊柱管
脊柱(椎骨)の中を通るトンネルのような構造となっており、神経の通り道になる。
肩まわりの構造
肩関節(肩甲上腕関節)は、私たちの体の中で最もよく動く可動域が広い関節です。これらは多くの筋肉や腱、靭帯によって守られ、関節包と呼ばれる関節を包む膜によって支えています。
関節運動を作っている筋肉や腱、関節包は加齢によって変化し、損傷しやすい箇所でもあります。スポーツなどのケガによっても脱臼が起こりやすい関節です。
首痛や肩痛は、これらの構造物(骨・筋肉・神経)が何らかの原因で不具合を起こし、発症することが多いです。
首の痛みの主な原因
整形外科で診断できる症状
筋肉、骨、神経の問題
首の痛みの原因は様々で、骨や筋肉、皮膚や血管疾患、リンパ腫の腫れなどが考えられます。
整形外科では主に、筋肉、骨、神経の問題を検査していきます。
首の痛みの原因として多いのは
加齢によるもの
- 加齢による椎間板の変性
- 加齢による骨や腱の衰え
ケガによるしびれや痛み
- 交通事故による頸椎捻挫(むち打ち症)
- 寝違えによる頸椎捻挫
骨や関節の病気
- 頚椎症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頚肩腕症候群
長時間のデスクワークやスマホの使用によって、日常生活の中で無意識のうちに首に負担をかけてしまうシーンが多いです。
結果的に、ふとした動作の時に首を痛めてしまうことがあります。
それ以外の要因
筋肉や骨以外にも、首の痛みを誘発する疾病があります。
これらの特徴としては、首の痛みだけではなく、発熱や頭痛、吐き気なども伴うことが多いです。
血管・脳の問題
脳の中の出血や、血管の壁が裂ける病気や感染症でも、首の痛みを感じることがあります。
くも膜下出血は、強い頭痛を発生しますが、少量の出血の場合は軽い頭痛や首の違和感だけの場合があります。
細菌やウイルスが原因で、脳の周りを覆っている髄膜に炎症が起こる髄膜炎では、首を左右に振ったりすると強い痛みがあったり、首が硬直して曲がらないことがあります。
甲状腺の問題
甲状腺は喉ぼとけの下にあり、蝶のような形状をしている臓器です。
感染症などで強い炎症を起こすと、首(喉)に痛みや腫れを感じます。
皮膚やリンパ節の問題
皮膚に湿疹やできものができた時も、首に痛みが現れることがあります。帯状疱疹は強い痛みを伴う代表的な皮膚疾患です。
感染などの影響でも、リンパ節が腫れ、痛みが現れることもあります。
肩の痛みの主な原因
整形外科で診断できる症状
肩には、筋肉・骨・関節・靱帯とさまざまな組織があります。
肩の痛みは筋肉の過度な緊張によるものが多いですが、骨や関節などが障害を起こしていたり、何かしらの病気が原因となっていることも考えられます。
加齢によるもの
- 五十肩・四十肩(肩関節周囲炎)
- 変形性肩関節症
ケガによるしびれや痛み
- 腱板損傷・腱板断裂
- 反復性肩関節脱臼
- 投球障害肩(野球肩)などのスポーツ障害
骨や関節の病気
- 肩こり
- 頚肩腕症候群
- 翼状肩甲骨(翼状肩甲)
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 石灰沈着性腱板炎 など
肩の痛みが強く、肩の可動域が制限されたり、しびれが伴う場合は骨や関節の病気の可能性があります。
それ以外の要因
内科形疾患による問題
肩の痛みは更年期障害や高血圧でもよくある症状のひとつです。
また、心臓の病気が関係している場合は左肩に放散痛が生じ、消化器の病気の場合は右肩に放散痛を生じることがあります。
しかし、症状だけでは骨や関節の症状と区別をつけるのは難しいため、疑われる場合はより精密な検査が必要です。
ストレートネック
ストレートネックの原因と症状
本来、頚椎(首の骨)は緩やかにカーブしていますが、ストレートネックは「首の骨がまっすぐ」な状態になっています。
パソコンやスマートフォンが普及した現代では、肩こり・首の痛み・頭痛でお悩みの方が増加傾向にあります。これらの症状はストレートネックが誘発している症状とも考えられます。
ストレートネックの原因
うつむく姿勢が原因の1つとして考えられます。長時間のスマートフォン使用や、日々デスクワークをされている方は注意が必要です。また、女性は男性よりも首・肩まわりの筋肉が弱いため、ストレートネックに陥りやすいといわれています。
本来は首の骨がカーブを描いていることで頭の重さや衝撃を和らげる働きをします。しかし、ストレートネックの状態になると、頭部の重みが分散されずそのまま首や肩へ負荷がかかってしまいます。
ストレートネックが誘発する症状
- 首・肩の痛み
- 寝違い
- 手・腕のしびれ
- 頭痛・めまい
- 耳鳴り・難聴
- 吐き気
- 顎関節症
- 自律神経失調
- 不眠や鬱症状
など、症状は首や肩の痛みだけではありません。
首の筋肉は自律神経の乱れにも影響してくるため、様々な症状のリスク要因になります。
首肩の診断・治療および予防
診断・治療について
まずは問診・診察によって症状を確認していきます。首肩の痛みが一般的な首こり・肩こりによるものであれば、触診で僧帽筋の圧痛と筋緊張をはじめ動きの状態を確認できれば痛みの原因が概ね明らかになります。
肩関節におこる痛みには、いわゆる五十肩である肩関節の関節包や滑液包(肩峰下滑液包を含む)の炎症のほかに、上腕二頭筋長頭腱炎や石灰沈着性腱板炎が疑われます。
肩関節可動域や頚椎疾患の確認を行いながら、X線(レントゲン)撮影、超音波検査などでそれらを区別していきます。
保存療法
重症度の高い場合は手術療法が検討される場合もありますが、軽症〜中等症レベルの疾患については、対症療法が主な治療法となります。
薬物療法(痛み止め薬による保存療法)を行います。 痛みが強い場合は局所麻酔による痛み止め注射も検討されます。
リハビリテーション
当クリニックで行われるリハビリには「運動療法」と「物理療法」、大きくわけて2つがあげられます。
運動療法
身体を局所的もしくは身体全体を動かすことで、症状の回復を図り、運動機能の回復を目指します。
物理療法
- 低周波治療器/カイネタイザー
- 温熱療法機器/ホットリズミー
- ウォーターベッド など
各種医療機器を用いながら、筋肉や神経に程よい刺激を与え、疼痛を抑制していきます。
また、血行不良からくる筋肉の緊張(こり)や痛み・しびれを和らげることで、不快感を抑えてリラックス効果を与えます。
痛みの予防について
首や肩の痛みの原因が「日常生活にある」という方はとても多いです。首肩にストレスがかかり続けることで筋肉が緊張し、血流障害が起こり、痛みを誘発します。
日常生活における癖や悪習慣をチェック
- パソコンやスマートフォンの長時間の使用
- うつむいたり猫背になる姿勢(姿勢不良)を続ける
- 身体に合わない枕やマットなどの寝具を使用する
- 運動不足
- 体を冷やし過ぎている
以上に注意しながら、筋肉への過度なストレスを極力減らし、負担をかけ過ぎないようにすることがとても重要です。
簡単に実践できる予防
- 正い姿勢を意識する
- 適度にストレッチやマッサージを取り入れる
- 入浴や蒸しタオルなどで体を温める
- 適度に運動する
また、痛みが繰り返したり長く続くという方は、なにかしらの病気が原因となっている場合もあります。
その際は痛みを我慢せずに、早めに医療機関を受診するようにしましょう。